日本での薬物乱用防止教育のモットーは、「ダメ、絶対」ですが、ダルクの視点は、「薬物依存症からの回復」にあります。薬物依存症は、病気であり、そこから回復してきた体験談を伝えることです。それが回復のメッセージになります。
「依存症(アディクション)」には、アルコールから人間関係の共依存までさまざまなタイプがありますが、その根本には共通した要因があります。それをダルクでは、「生きづらさ」と表現しています。その依存対象がたまたまドラッグであったのが薬物依存症者です。
そこで、学校教育の中で、児童期、思春期を生きる子どもたちに、薬物依存症から回復したダルクのスタッフができることは、次のことです。
学校での薬物乱用防止教育としてダルク・スタッフができること
―薬物依存症からの回復メッセージ
- ドラッグにハマってしまった薬物依存症者である当事者(アディクト)の声(体験)を伝えること。
- 薬物依存症が病気であることを体験談から伝えること。
- 薬物依存症からの治療と回復が可能であることを伝えること。
以上、ダルクのスタッフが、学校教育での薬物乱用防止教育でできることは、薬物依存症という病気からの回復メッセージを子どもたちに伝えることです。
もう一つダルク・スタッフだからできることがあります。それは、薬物依存症から回復した当事者からしか子どもたちに伝わらないものです。その他の薬物関係の専門家からは伝えられないことです。
それは何なのか?
それは、体も心も「死んだ」といえる人生のどん底状態から回復してきた体験がもつパワーです。それがストレートに多感な子どもたちに伝わります。そして、その回復メッセージから子どもたちがなにかを学ぶ機会を与えることができます。それは、「生きる力」といえるかもしれません。
これらが、予防教育として薬物依存症から回復したダルクのスタッフができることです。