
薬物依存症とは
自分の意志では、薬物がやめられなくなる病気です。
第一段階
何かのきっかけで薬物と出会い、「大丈夫かな」と思いつつも使い続けると、最初の量では薬物の効果が得られなくなり、量も回数も増えていきます。これを耐性[たいせい]といいます。
第二段階
「やめよう」と思って中断すると、ひどい落ち込みやあせりといった気持ちの変化、だるさやふるえといった体の不調が現れます。多くは薬物の効果とは正反対の症状(興奮→落ち込み、シャキシャキ→グダグダ)になります。これを離脱症状[りだつしょうじょう]といいます(禁断症状)。離脱をおさえるために、再び薬物を使い始めます。
第三段階
そうやって使い続けていくうちに、さまざまな問題が生じてきます。学校や仕事、家庭のことをおろそかにし、人によっては仕事を失う、入院させられる、逮捕されるなどです。その度に「やめよう」と決意するのですが、依存症のため、一時やめることができても長続きしません。
最終的には…
「使っても苦しい、やめても苦しい」「やめたくてもやめられない」という状態になります。これをコントロール喪失[そうしつ]といいます。
耐性と離脱症状、そしてコントロール喪失が薬物依存症の特徴です。薬物によっては耐性や離脱があらわれにくいため、コントロール喪失だけでも依存症といわれます。
依存症になりやすい人の特徴として6つあると言われています。(成瀬暢也)
- 自分に自信が持てない
- 人を信じられない
- 本音が言えない
- 自分を大切にできない
- 見捨てられ不安が強い
- 孤独でさびしい
依存症の背景には、人間関係の課題があります。ダルクでは、「仲間」としての回復者スタッフや利用者どうしの新たな人間関係の中で、もうこれ以上は薬物使用を必要としないような日々に向けてのサポートを行っていきます。
メンバーのエピソード集
東京ダルクのプログラムに「当事者研究」というプログラムがあります。これは「自分たちのことを自分たち自身で語り、言葉にまとめ、研究する」というものですが、ここでは『東京ダルク、愛と冒険の日々』というテーマで話し合ったときに出てきたそれぞれのエピソードを発表します。
- まえは脱走すると1週間は帰ってこなかった。いまは1日で帰って来れるようになりました。
- 3年の山ごもり(地方のダルク入寮)でやっと酒が止まりました。
- 国立大を出て、売人をやっていました。いづれ僧侶になるつもりです。
- 精神病院で退学届を書いたけど、クリーンになってからもう一度大学に行って卒業しました。
- 留置所にいた時、ダルクではうまくいかなかった同部屋の人にダルクをすすめられました。以来10年クリーンです。
- 昔は幻覚キノコに呼ばれていました。今は誰も呼んでくれません。
- いつも土俵際です。
- つながって28年、だいぶ落ち着きました。月1で風俗に行ってます。
- 19歳で初めてダルクを知りました。20年後、39歳でようやくつながりました。
- ミーティングで告白しました。出入り禁止になりました。これからは神様に告白します。
- 裏も表もよくわからないです。
- 咳止めの錠剤をコメのように研いでいました。笑ってもらえて嬉しい。
- 昔はジョイント巻いて回すしか人と付き合えませんでした。いまはアゴ(おしゃべり)回しています。
- ダルクに面接に行った帰り、車の中でガスを吸ったら爆発してしまいました。生きていて良かった。
- ガンマが4,000まで上がってしんどかったけど、ダルクに来たら8,000まで上がった人がいた。お互い生きていて良かった。
- 地獄の底は意外と豊かだった。