チョロ松の回復(6)
コロンゼが去って残されたチョロ松、しばらくは大人しくしていましたが、間もなく病気が出始めました。
自助グループのミーティング場に来ていたダルク女性ハウスのメンバーに「一緒にやらないか」と軽いノリで声を掛けました。女性メンバーはびっくりして断りました。
翌日女性ハウス代表のハルエさんからダルクに電話がありました。
「そっちにチョロ松ってやつ入寮してる?」
「してますが、何か問題でも?」
「自首しろって伝えて」
何をしでかしたのか聞こうと僕はチョロ松のところへ行きました。
「別に何もしてません」口を割らないので、ハルエさんの言葉をそのまま伝えました。するとバツが悪そうな顔をして出て行ってしまいました。それきりその日は帰って来ず、三日後やつれた顔で帰ってきました。
「3日もどこ行ってたの?」
「甲府の友達のところに行ってました。すみません」
一応詫びは入れますが、まったく反省している様子はありません。
「使ったの?」
「酒は飲みましたが、薬は使ってません」
「チョロ松、やめる気あんの?」
「あるからここにいます」
なんだか煮え切らないやり取りに終始してしまいました。
翌日、事務所に出勤するとアスカさんが開口一番
「チョロ松の顔見たか、お地蔵さんみたいになっとるでー」
どうやらチョロ松はクスリが入ると瞳孔が開きっぱなしになって、白目の部分がなくなるようで、それがお地蔵さんの目みたいになります。その日一日彼を見守っていましたが、クスリが体に入っていることがバレまいと、健気なまでにいつも通りを装っていました。ご飯は食べない、夜は寝ないでバレバレでしたが。