サポーターたより

コロンゼ登場(3)

秋元恵一郎

その後もコロンゼはなかなかクリーンになれず、再発を繰り返しました。ある時、墓参りに行くと出て行ったきり2~3日帰らないので、どうしたものかとスタッフ同士で思案していたところ、バーンとドアが開いて「あかん、ラブホから出れんくなって、一文無しになってしもた。誰かここまでのタクシー代払ってくれへんか」と事務所になだれ込んできました。

すかさず
「払うかそんなもん!帰れ!」とアスカさんが追い出しにかかりますが
「頼むでぇ。お願いや。払ってもらわな死んでまうー」と必死のコロンゼ。
「払わんもんは払わん!帰れ!」
「あかん。帰れん。はんまに頼むーー」
ヒョウモンダコ並みの毒気に気圧されたアスカさんはついに
「わかったわかった。ただし入院することが条件や」
「入院でも何でもするがな。ほんま助けてくれーーー」
関西弁の正気と狂気がぶつかり合ってギリギリの解決策を見出しました。

そこからA病院のベッドが空くまでの待機期間が長い長い消耗戦でした。3日3晩薬を使い倒してのご帰還なので、見るも無残な最悪の離脱症状が現れました。体中の筋肉がカチカチに固まって静止したかと思うと、次の瞬間舌がビヨーンと飛び出してポリネシアのお土産みたいな顔になり、手足は本人の意に反してあっちこっちに勝手に動き出すので、ポンコツなロボットの踊りを見ているようでした。表に出たら間違いなく不審者で通報されるので、暴走して外に出ないように注意深く周囲は見守りますが、聞き分けのない子供のように3分もじっとしていられません。ピンクレディーのUFOみたいに踊り出して止まらないコロンゼを、何時間も苦々しく見守りながら、(シャブは怖ぇなー)風邪薬依存症の僕は痛感しました。

踊り疲れてようやく静かになったかと思うと今度は悪魔にとりつかれたような顔で「狙われている。見られている」とか始まって「大丈夫大丈夫。心配いらないから安心して」というやり取りが延々と繰り返されて、コロンゼもギリギリの状態だったと思いますが僕もほとほと疲れ切ってしまいました。何日間、離脱に付き合ったか憶えていませんが、最後は「イーッ!」とか「ウーッ!」しか言わなくなったコロンゼに、こちらも「アーッ」とか「オーッ」で返すしかなくなりました。(このままじゃコロンゼも俺も人間じゃなくなるぞ)恐れを抱きつつ、精も根も尽き果てて何も考えられなくなってようやく僕も、そしてコロンゼも眠りにつきました。

掲載日:2019年5月10日